【独学で書道を学ぶ方へ】書道競書誌の選び方
(大切な3つのポイントとは。)
書家
片岡 青霞
プロフィール
書道の学び方というのは、必ずしも書道教室に通うということだけではない。勿論、 実際に先生の筆遣いを生で見て学ぶ方がいいに越したことはないが世の中には様々な理由によって書道に興味関心はあるが教室に通うことができない人も多くいる。例えば、お子さんが生まれたばかりで育児があるため自分の時間を確保できない。書道を習ってみたいが健康上難しい理由があり遠出できない。など。そんな方々のために自宅にいながら書道を独学で学ぶ方法がある。毎月の書道競書誌を購読し自宅で書いた作品を出品することで級や段を取得していくという活用方法である。 全国に数百あると言われている書道競書誌の中から自分に合ったものを選ぶためにはどのような手順を踏めばいいのだろうか。今回は3つのポイントを紹介してみようと思う。
(ポイント1)情報取集の仕方
日本全国に書道競書誌は一体どのくらいの数あるのだろうか。 確かな数は不明だが小さなものから含めれば数百は確かである。これだけの数の中から自分に合った書道競書誌を選ぶためにはまず何からすればいいのだろうか。 まずはじめにすることは、書道競書誌の情報収集からとなる。書道競書誌の良いところは自宅にいながら書道を学ぶことができるという点にある。自分がどこに住んでいても全国にある多くの中から好きに選ぶことができ書道の学習ができるということである。情報収集をすると言ってもどのようにすればいいのかわからない人も多いことだろう。 書道競書誌の情報収集の仕方としては主にこのような方法がある。
【書道競書誌の探し方】
・ネットワード検索「書道 競書誌 おすすめ」
・書道展
・書道団体HP
・書道本
・書道用具店
・紹介
最もオーソドックスな方法としてネット検索がある。県内、県外問わず好きな書道競書誌を取り寄せて勉強ができるということはとても魅力的であると思う。書道展の開催された際に自分が好む作品が多い場合には書道展受付で声をかけてみるといいだろう。この展覧会に出品している方々が普段どのようにして書道を学んでいるのか。活用している書道競書誌があれば実際に聞いてみることは一つの方法である。また、書道用具店には書道関係者の方々が多く出入りをしているためたくさんの情報が集まる場となっている。実際に店舗に足を運んで店員さんに尋ねてみよう。書道関係は狭い世界でもあるので昔ながらの紹介を通じて出会うこともあるかと思う。身近に現役で書道をやっている方に聞いてみるということは最も有力な情報源となる。はじめはできるだけたくさんの情報収集をすること。まずは量からとなる。
(ポイント2)書道競書誌の取り寄せ、自分の好む学びたい書
ネットやその他で情報収集をした後にすることは、実際に書道競書誌を発行しているところに連絡をしサンプルを取り寄せる作業となる。ここで、自分が好む書。学びたいと思える書道があるかどうかを確認する。書道競書誌と言っても実に様々な特徴があるため自分が学びたいジャンルがあるかどうかということはとても大切なポイントとなる。 例えば、 漢字を学びたいと思っているのに、古典仮名メインの書道競書誌ではミスマッチが起きてしまう。自分が求めているものとマッチするかどうかは大切なポイントとなる。
ここで、書道初心者の方であれば 書道競書誌を活用して学んでみたいとは思うが、そもそも自分がどのような書を好むのかがわからないという方も多いのではないだろうか。 漢字を一つ取ったとしても力強いものや優美でしなやかなものなど書風は様々となる。その際の選ぶポイントは、自分の感性を大切に今の段階で一番好きな書を選んでみてほしいと考えている。人にはそれぞれ感性があるがこの感性とは直感のことである。漢字を見比べてみた時に自分はこちらの方が好きだと思えるもの、その感性と直感に従い選ぶことをオススメしている。取り組む過程の中で感性が変わるということも十分にあり得るかと思うが、最初の段階としては自分の感性によるこのような書が好きから入ってみるといいかと思う。 自分は一体何が好きなのか、どのような書を学びたいと思っているのか。これを見極めるためにたくさんの気になる書道競書誌を取り寄せて数を見る必要がある。数を見ていくと自分が学びたい書がどのようなものなのか次第にわかるようになってくる。たくさんの書道競書誌を取り寄せて中身を見てみよう。
(ポイント3)書道競書誌の特徴を知る
全国に数百の書道競書誌が存在するが、すべての書道競書誌においてカラーや特徴が異なると言っても過言ではない。それぞれ所属する人が異なるため当然の話である。書道競書誌を手がけている団体や組織、構成、編集、審査方法、運営の仕方など全てにおいて異なるため気になる書道競書誌の特徴を知ることは欠かせない。 大抵の場合、級や段の取得をすることができるが、他に師範の取得や展覧会などはあるのかないのか。 出品する際のやり取り方法。競書誌購読にあたっての費用。どのくらいの人々がこの書道競書誌で学んでいるのかなど確認するべき点が多々あるかと思う。最初の時点で疑問に感じたことなどがあれば、遠慮なく問い合わせをし解消しておこう。実際に書道競書誌を取り寄せて学びがスタートしたにも関わらず、こんなはずじゃなかったということが起こらないようにするために前段階の確認は自分のためにする必要がある。 しっかり吟味をした上で学びをスタートさせよう。
書道を学ぶということは古典を学ぶということとなるため、古典カラーが色濃く出る書道競書誌も多くある。書の歴史や知識教養に関する内容がとても豊富で身になる学習ができるものも非常に多い。書道と言えば、もちろん書くという作業がメインではあるが、単に書くということだけが書道ではない。必要な知識を同時に培っていくことでより書道を深く学ぶことができるようになり、ここをきっかけとしてさらに書の世界が大きく展開していく。書道競書誌というのは、自宅で独学で書道を学ぶ人たちのためにたくさんの役割を担っているのである。
自分自身の学びのために
独学で書道を学ぶ方々がどのようにして自分に適した書道競書誌を選択すれば良いのか3つのポイントとして紹介をしてみた。
(書道競書誌を選ぶ3step)
1. 情報収集
2. 書道競書誌の取り寄せ、自分の好む学びたい書の確認
3. 書道競書誌の特徴を知る
この手順を踏んで書道競書誌を選択することで、自分に最も適した書道競書誌をもとに独学で書道を学ぶことができるかと思う。 最初の時点で、どこで何を学ぶかということはとても重要なポイントとなるため焦らずじっくり時間をかけて情報収集することをオススメする。自宅で独学となると、今の自分の学びで果して身になり力となっているのだろうかと不安に感じたり、時にはモチベーションが下がることもあるかと思う。ただ一人で書いて終わっていては自己満足の世界である。目安となるものは何かしら必要であると感じている。理由があって書道教室に通うことができない全国の人たちのためにも書道競書誌を活用して書道が学べるようになっている。
年々、書道競書誌を安価に維持することが厳しくなってきている。昔から携わっている書道競書誌を運営してくれている人々の年齢層もかなり高まっている。ここに現代における物価上昇、印刷費高騰などが上乗せされている。全国から集まる作品を毎月審査取りまとめすることは非常に時間と手間暇のかかる作業なのである。私たちの見えないところでたくさんの人たちの支えがあり書道競書誌の運営が成り立っている。このことに感謝の念を忘れてはいけない。精一杯取り組んでいい作品を書き出品することが一番の貢献である。自分に最も適した書道競書誌が見つかることを願っている。