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書道教室の体験レッスンを無料でやってはいけない理由

書道教室の体験レッスンを無料でやってはいけない理由
(無料軍団の正体とは。)

書家

書家
片岡 青霞
プロフィール


 書道を習ってみたいと考えた際に、最初の入り口となるのが見学や体験レッスンとなる。昔ながらの書道教室では、体験レッスンなどがなく知人の紹介などにより、行ったその日からすぐにお稽古がスタートする教室もあった。現代においてはこのような教室は珍しく、自分の意志が確固たるもの以外は、見学や体験レッスンをおこない教室の案内を伺ったうえで入塾するかどうかという判断をするのが通例となっている。
 今回は、最初の入り口となるこの体験レッスンを無料でやってはいけないことに関して考えてみたいと思う。なぜ、無料ではいけないのか。教室経営をしている方々においても分野は異なれど共通する点があるかと思う。これまでのご自身の教室を振り返りながら一緒に考えてみよう。

なぜ、体験レッスンを無料でやってはいけないのか

普段の児童のお稽古の様子

 書道教室の見学や体験レッスンを、なぜ無料でやってはいけないのか。先に結論を述べるが、それは「無料軍団」を呼び集めないためである。

 「無料軍団」とは、私が勝手に考えた造語となるが、無料だからとりあえず行ってみる、やってみるという方々のことを指している。現代人は、仕事、家庭、育児ととても忙しい毎日を送っている。なので、無料だからといってあちこち出歩いてる人はいないだろうと考えられるかと思う。ましてや習い事なのだからさすがにそれはないだろうということも十分にわかるが、世の中には 一定数の割合で、この無料軍団がいることをわたしたちは忘れてはいけない。

 無料軍団の特徴は、とにかく安く手軽にできることが大好きである。生活の中においては、安く手軽にして便利でいいものは多いが、何かを学ぶうえでの習い事においてその考えを延長線上で押し通そうとされると多々困ることがある。習い事をするということは、今後の一定期間関わり合いをもつということになる。そこには、人としての関わりがあるため、礼儀礼節やコミュニケーションなどはお互い必要最低限のものをもちあわせていることが大切である。そんなに大それたことでなくても、普通の関わりができるということは何よりもかえがたい。無料だからとりあえずどこへでも行くという考えの方々は、仮に入塾しても何かしらのトラブルを引き起こす確率が非常に高い。そのため、見学や体験レッスンは教室を立ち上げた当初から有料としておこなっている。

書道教室の体験レッスンの相場とは

体験レッスンのお問い合わせが最も多いのが春の季節。新年度や学年の切り替え、新生活に向けて新たなスタートを切る人が増える。photo by Photo AC

 当教室の見学や体験レッスンは、1時間1000円で教室のお稽古がある時間帯にておこなっている。最近では春と夏の年2回、見学と体験レッスンの入塾キャンペーンを開催しているが、その一定期間だけ見学や体験レッスンを無料やキャッシュバックなどとしている。年度の切り替わりは人が動く時期でもあるため、これから新しくはじめようとしている方々を応援する意味をこめてキャンペーンを設けている。また、大人の場合には書道をはじめるにあたり、 子どもとは異なる用具(筆、固形墨、硯など)を揃えることになる。決して、初期費用としては安くない金額になるため、少しばかりのサポートとしている。

体験レッスンの料金と内容

料金内容
無料~3,000円以上・半紙に好きな文字を書く
・小筆で自分の名前を書くなど
+教室の案内(お月謝、スケジュール、用具など)
※見学・体験レッスンは1~1.5時間の書道教室が多い。体験の内容はほぼ同じだが、料金は教室によって価格差がある。

 書道教室の体験レッスンの相場とは、どのようなものなのだろうか。
ランダムに全国にある書道教室の体験レッスンの価格を調べてみた。すると、1~1.5時間で無料のところから3,000円で開催しているところまで大きな開きがあることがわかった。見学・体験レッスンの内容に関してはそこまで変わりはなく、子どもの場合は半紙に好きな文字を書く、大人の場合は小筆で自分の名前を書くなどが一般的となっていた。これに加えて教室の案内がされることとなる。 これを教室は開校している時間帯の中でやることになるため、講師は通常の生徒さんへのお稽古指導をしながら同時進行ですすめていく。

 見学や体験レッスンへの対応ばかりになってしまい、 生徒さんへの通常のお稽古対応がおろそかにならないようにすることを心掛けている。時間を割いているため、見合った見学や体験レッスン料をいただくことは必要なことだと考えている。

手ぶらでお越しいただくために、準備していること

 他の書道教室もだいたいは同じであるとは思うが、見学や体験レッスンへは手ぶらで行けるところがほとんどではないかと思う。まだ何の用具も持っていない方々がほとんどのため、用具を持参するようにとなるとたったこれだけでハードルが上がってしまう。 そのため、手ぶらでいける教室が大半をしめているかと思う。
 見学や体験レッスンへ手ぶらでいけるということは、伺った先の書道教室で必要な用具は全て用意して準備されているということになる。筆、紙、墨、硯などがテーブルにセットされており、今すぐに書ける状態が整っているということになる。必要用具の貸し出しや消耗する紙や墨代は教室側の負担となることを考えれば、見学や体験レッスンが有料であることはごく自然なことであるかと思う。逆に無料で、見学や体験のみで入塾がないのであれば割いた時間や消耗した用具代を考慮すればただのマイナスとなる。

 ボランティアをやりたくて、営業はしたくなく、赤字でもいいというのであれば見学や体験レッスンを常に無料で開催することはいいかと思うが、これに加えて無料軍団が訪問する確率が高くなることは把握しておくべき点だと考えている。生徒さんの質が悪いと嘆く先生に限って、自分でそのような人を招いているにも関わらず、生徒さんのせいにするのはいかがなものかと思う。見直すべき点は、生徒さんのことではなくご自身の見学や体験レッスンに関する考え方なのかもしれない。

生徒さんに気持ちよくお稽古をしていただくために

展覧会へ向けた児童の特別お稽古の様子。

 書道教室の見学や体験レッスンをなぜ無料でやってはいけないのかの理由としては、「無料軍団」を自ら呼ぶことに繋がるためであり、このような方々は仮に入塾をしても後々トラブルメーカーになる確率が高いため、ワンコインでもいいので有料として時間を提供するべきだと考えている。

 教室運営をされている先生方なら、一人でも多くの生徒さんに来てほしいと思う方もいるため、間口や問い合わせを広げるために無料で開催している教室もあるかと思う。これまでそうしてきて何の問題もないのであればそのままでも構わないが、もしそうでないのなら改める必要があるのかもしれない。新規の生徒さんが入ってきていただけることも大切だが、既存で長く通われている生徒さんが、これまで通り気持ちよくお稽古を継続できる教場を提供することはさらに重要なことだと考えている。一度、飽和状態になるとクラスや教室全体の雰囲気にまで波及するため、そこは避けるべき点だと考えている。おかしいなと感じた時点で先生が見逃さないこと。たった数人の影響によって、時に周囲のいい流れや空気を変えてしまうことがある。これは既存の生徒さんを守るということへも繋がるため、学ぶ環境を整えることは講師の役割であると言える。

 クラスや教室の雰囲気は皆でつくるものだが、 やはりその中心となる先生の存在は欠かせない。個人でやられているのならなおさら、先生にかかっている。 全ては既存の生徒さんを守るためでもあり、よい学びの場を提供するために必要なことだと考えている。これまでのご自身の教室を振り返り、見学・体験レッスンにおいて見直すべき点は改善をしてみよう。

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