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あなたはいくつ当てはまる?書道が上達する人の特徴【10選】

あなたはいくつ当てはまる?書道が上達する人の特徴【10選】

(三角のピラミッドの考え方。)

書家

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片岡 青霞
プロフィール


 書道を上達させるためにはどのようにすればいいのだろうか。書道を学んでいる方々であれば、一度はこのようなことを考えたことがあるかもしれない。よく見かける一般的な答えとしては、書道の練習をして技術を習得しましょう。というオーソドックスなものがある。もちろん、書道を上達させるためには間違いではないが、実は書道の練習以前の問題として、とても重要な考え方がある。この考え方は書道だけに限らず、すべての学びに共通するものであると考えている。言い方を変えれば、ここを疎かにしている人はどんなに練習を積んでも伸びない。13年教室を運営してきて、伸びている人たちがもちあわせている書道が上達する人たちの特徴を10選紹介しよう。

最も大切な三角のピラミッドの考え方

書道を学ぶために必要な三角のピラミッド構造。人間力や人格(性格)を土台とし、基盤がある人間が書道を学ぶからこそ技術が向上する。

 この世の中は、原理原則で成り立っている。原理原則とは、物事の根本的な法則や基本的な決まりを指し、物事の本質に適した考え方や生き方のことである。これは自然の摂理のようなもので、あなたが信じる信じないに関係なくこの世に普遍的に存在している。原則に沿った考え方や生き方をしていれば、大きく道を踏みはずすことはない。同時に、何かを学びたい人々にとっては、原理原則がどれだけ自己に影響を与えるのかを心に留めておくことが大切だと考えている。

 書道を学びたいという人々を見ていると、学ぶ意欲もあり技術の習得の大切さを感じている人がほとんどとなる。これは大変素晴らしいことである。一方で、ベースの部分となる人間力や人格(性格)の点に目を向ける人が少ないことはいささか残念な点であるとも感じている。“誰が、何を、どのようにして学ぶのか。”この誰がの部分は、みなさん自身のことである。主語である「私」が冒頭にくるにも関わらず、学ぶ意欲や技術だけを追い求めるばかりで、自己に対して目を向けずにそのままにしていると思うような成長を遂げずに終わることがある。

公園の砂場に数日経過しても残っている砂山があった。何度も固められた手形の跡があり、一際目立っていたことを今でも覚えている。photo by photo AC

 幼い頃、砂場で山づくりをして遊んだ経験はあるだろうか。サラサラの砂だけを上から流しているだけでは山は決して大きくはならなかった。より頑丈で強固な高い山をつくるためには、砂に水を加えて泥状にし、通常の砂と交互に盛ることでより固まりやすくなることを幼いながらに学んだ。手で叩き土台をしっかり固めることでさらに高く上に積むことができるようになった。この幼い頃に誰もがやったことがあるであろう砂遊びは、物事を学ぶ上において大切なことをわたしたちに教えてくれている。土台が不安定のままいくら上に積もうとしても山は大きくならない。子どもが客観視してもそんなのあたり前じゃん。と思えることを大人は気づかずにやってしまっていることがある。逆三角形ではすぐに崩れてしまうのに、なぜか技術が一番だと考えている。学ぶ意欲と僅かな技術さえ習得すれば上達でき、書道を学ぶにあたり人間力や人格(性格)は大して関係のないことだと思っている。「誰」が筆をもつのか。この世の中は、原理原則で成り立っている。

書道が上達する人の特徴【10選】

 書道が上達する人たちは下記のような特徴をもちあわせていることが多い。あなたの周囲にいる人をよく観察してみよう。書道が上達する人とはこのような人物ではないだろうか。

① 書道が好き⑥ 素直さ
② 豊かな心の持ち主⑦ 練習
③ すぐれた人格者⑧ 筆が買える人
④ 生活神経⑨ 欠席・振替が少ない
⑤ 観察力、洞察力、研究力⑩ フットワークが軽い
書道が上達する人の特徴【10選】

① 書道が好き

 書道が好き。この好きという思いは全ての源となっている。時に、思うように書けないことがあり苦しいと感じることもあるかもしれないが、それでも書道が好きの気持ちは変わらない。嫌いなことを続けることは辛いが、好きなことは長く続けやすい。根本には好きという気持ちがある。

② 豊かな心の持ち主

 豊かな3大心とは、「他人を思いやる心」「自然や美しいものに感動する心」「感謝の心」。自分さえ良ければいいという考えは、言動、態度、姿勢、表情、仕草を通じて表面へ出る。豊かな心の持ち主は、謙虚であり過信や慢心がない。総じて、心の持ち主だといえる。

③ すぐれた人格者

 人間力や人格者という名にふさわしく、誰からも憧れられるような人物。人への気遣いや配慮にたけており、人が気づかない小さなことにいち早く気づく力がある。礼儀正しく、礼を重んじとても大切にしている。総じて作品がいい人たちは、作品の前にすぐれた人格者であるケースが多い。

④ 生活神経

 普段の生活に関することが、書道の紙面に線を通じて出現することを把握している。そのため、普段の生活をきちんとしている。約束を守る、時間を守る。人としてあたり前とされていることを欠かさない。本人としては当然のことと認識している。

⑤ 観察力、洞察力、研究力

 よく見て、よく考え、よく探る。まるで研究者のような要素を持ち合わせている。この中でも目を通じて見る力(観察力)に最も優れている。古典法帖を見て、一人で宝探しゲームをして楽しむことができるような変人のことである。

書道 古典法帖
日常生活において、気づきが多い人は書道に向いている。書道の時だけ古典法帖を見てたくさん気づこうとしても中々気づくことはできない。普段の生活が大いに関係してる。(左・雁塔聖教序、右・初月帖)

⑥ 素直さ

 何かを学ぶ上での基本。これが備わっていないと何も吸収できずにただ時間とお金を無駄にする。力量としての腕がないのに口先だけ立派では格好が悪いし、誰からも相手にされない。年齢やキャリアを積んできた人、プライドが高い人ほど難しいのがこの素直さであると感じている。

⑦ 練習

 書道の練習をしている。自分の決まった日時に教室へ通ったり、自宅で練習をしている。練習量が多いことは素晴らしいが、正しい練習の仕方でないと意味がない。正しい鍛錬の積み重ねをするからこそ、より良くなっていく。

⑧ 筆が買える人

 大人の書道は、ほとんどの方々が羊毛筆でお稽古をしている。“筆が買えない人はモノにならない。”と、耳にタコができるほどこの言葉を師から聞いてきた。筆を手にすることは、自己への期待が込められている。学ぶ意欲を高めることに繋がっている。

⑨ 欠席・振替が少ない

 毎月、決まった日時にコンスタントに顔を出している。こんなことが書道が上達する人に関係しているのかと感じるかもしれないが、大いに関係している。上達する人は明らかに欠席・振替が少ない。決められた日時にすることで自分の中での生活リズムを刻んでいる。

⑩ フットワークが軽い

 何事にも前向きに挑戦する心をもち合わせている人のフットワークは軽い。やってみよう、試してみよう、チャレンジしてみよう。このような気持ちが人一倍ある方。前向きに検討するは、何も考えていませんと同じこと。伸びる人は、前だけ見て進む力がある。

学びを通して人間性を磨く

書道が上達したいのだから、書道の時だけ一生懸命やればいいのではないかという人がいるが、この考え方では一生伸びない。

 書道が上達する人の特徴を10選紹介してみたが、あなたはいくつ当てはまっただろうか。

 これから何かを学ぼうとしている方も、すでに学んでいる方も先に目を通すのは10選ではない。もう一度三角のピラミッドを見てみよう。土台のベースにある人間力が最も幅広であるということは、自分という人間がこれら全ての支えをつくる根源であるということを示している。その上で何を学ぼうか。どのくらいやろうか。という話になる。ただひたすら技術だけを追い求めることがないように気をつけよう。技術の習得ばかりに夢中になり、大切なことが疎かになり見えなくなった時から人は軌道を外れていく。書道が上達する人たちは、美しい三角のピラミッドを形成している。小さなものから大きなものへ。仮に多くの受賞をしても、自分の腕を過信したり心を忘れればいつか根底から梯子を外され痛みをともなう日がやってくる。伸び悩み何がいけないのわからずにフェードアウトする。自分がこれまでどのような三角のピラミッドを築いてきたのかが試される瞬間でもある。

 何かを学ぶということはとても楽しい。自分でどのような三角のピラミッドを築くのかを決めることができる。もろく崩れやすいガタガタの山か、それとも頑丈で強固な美しい山か。すべては自分次第である。

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