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20年後の日本の未来予想

20年後の日本の未来予想
(貨幣の革命時代を生きるわたしたち。)

書家

書家
片岡 青霞
プロフィール


 「20年後、日本人が出稼ぎへ行くようになる。」20歳の頃、そんな言葉を何気なく口にすると「さすがにこの国でそれはないでしょ。」と、隣に座る友人は笑った。そんな友人をわたしは真顔で見ていた。あれから20年の年月が過ぎた。実際に今の日本はどうだろうか。他国が経済成長を続ける中、働いても賃金があがらない日本。社会保険料や税金の増額、物価上昇、将来への夢や希望が薄れ不安を抱える人の数も多くなっている。海外へ出稼ぎへいく人、住まいを移住させ暮らしそのものを変える人たちも極わずかだが目につくようになった。今後の世界は、はたまたこの国はこれからどのようになっていくのだろうか。今回は、後出しジャンケンにならぬよう先に20年後の創造できる未来を書いてみたいと思う。今後20年の間にいくつか大きく変わるものがあるが、その中の一つ「貨幣」の世界を覗いてみよう。

古くからの貨幣の歴史

 最初のお金として使用された貝貨(ばいか)。大きさがほぼ一定のため、タカラ貝(子安貝)が貨幣として用いられた。photo by Pexels

 貨幣とは、取引の際に商品の交換手段として使用され、人々の間で通用するようになったものとある。貨幣、通貨、お金の意味はほぼ同じだが、貨幣は商品やサービスの円滑な交換や流通のために欠かすことができないとても大切なツールとなっている。基本的には、各国が独自の貨幣を発行し、その国のルールに従い取り扱われるようになっている。

 これらの貨幣の歴史は古く、中国では紀元前16世紀から8世紀にかけて宝貝が物品貨幣として使用されていたという記録がある。また、日本においても7世紀後半に飛鳥の中心地で作られた「富本銭」が最初の貨幣とも伝えられている。わたしたちが貨幣を貨幣として認識しているのはなぜか。それは、国が保証し人々がそのものにある価値を信用していることにある。皆での共通認識が一致しており、貨幣はわたしたちの信用のもとで成り立っている。世界三大通貨として、ドル、ユーロ、円があるが、世界中の人々がこれらの貨幣を貨幣として信用しているために多くの人が安心をして頻繁に使われている。あたり前の話ではあるが、どれも目に見える形あるものとなっている。

この世に存在しない土地が売れた日

メタバースの土地を取得することで、建物を建てたり、店舗を出店したり、イベントを開催するなど、さまざまな権利を得ることができる。これにより、メタバース内でのビジネス活動(収益化)、資産価値の向上にも繋がる。photo by Pexels

 そんな古くからあたり前とされてきた貨幣に対する革命が新たな常識や枠組みを超えて、まさにこれから起きようとしている。

 メタバース。あなたも一度はこの言葉を聞いたことがあるかもしれない。メタバースとは、インターネット上に構築された3次元の世界で、人数参加型の仮想空間のこと。「超越」や「高次元」を意味する「メタ(meta)」と、「宇宙」や「世界」を表す「ユニバース(universe)」をかけ合わせた造語のこと。メタバースでは、ユーザーは自身の分身(アバター)を介し世界に入る。リアルゲームのような感覚で、限りなく現実世界に近い状態で活動ができる。

 2021年。暗号資産取引所やNFTのマーケットプレースを運営するコインチェックが、ゲーム『The Sandbox』の仮想空間上の土地をNFTで販売した。NFTとは、非代替性トークンのことである。従来のデジタルデータは容易にコピーや改竄ができていたため、データそのものに希少価値はなかった。しかし、NFTは代替不可能なトークンのため、唯一無二の価値をもちあわせているという特徴がある。大半の人からすれば、仮想空間の土地など売れるはずがないと思うかもしれないが、実際に売り出した33区画の全ての土地は販売開始から3秒以内に買い手が決まり、8分8秒で即完売した。今や仮想空間の中で不動産取引が行われており、ユーザーの期待と共に仮想土地の価格も上昇しているというのだから驚きである。

目に見えるものから、目に見えないものの価値へ。

実際に海外へ行かなくても、スマホやPCがあれば全世界に簡単にアクセスすることができるような時代。誰もが恩恵を受けている。photo by Pexels

 普段の生活暮らしの中では、人々が仮想空間に触れるような機会はないため実感が湧かないのも無理はない。普段の生活であればリアルの世界で事が足り、特段困ることは何一つない。これまで、文明の発達やテクノロジーの進化と共に人類は成長を遂げてきているが、世界の国々ではこれからさらに新しい発展と成長を見据えて、国家を主体として今この瞬間も仮想空間における市場に向けて着々と準備が進められている。

法定通貨ビットコイン
管理者国、中央銀行なし
実体あるなし
発行量無限有限
使える場所主に発行国の国内世界中の取扱店舗
価格変動小さい大きい
偽造可能困難
法定通貨とビットコインの違い

 仮想空間の中での通貨としては暗号資産というものがある。インターネット上でやりとりができる電子データで、通貨のような機能を持つ資産のこと。紙幣や貨幣などの実態は存在せず、国家や中央銀行によって発行される法定通貨とは異なる。法定通貨であれば、無くなればいくらでも印刷や製造をして作ることができるが、発行量が決められているものはそうはいかない。その最も主要なものがビットコイン(BTC)である。サイバー攻撃による取引所からの流出や詐欺などのニュースを目にするのだから、あまりいい印象をもちあわせていない人がほとんどだと思う。米国で繰り広げられた白熱した大統領戦はわたしたちの記憶に新しく、今年に入ってからは新大統領が誕生したばかりである。就任早々、さまざまな政策が進められているが、その中の一つに国策としてBTCなどの暗号資産を国家準備金として導入すべき声が現在高まっている。一個人や企業が動かせる資金には限度があるが、国が保有を示す動向があるという時点ですでに規模が異なることを示している。これに倣い、米国に続き他国がつい従いする流れが生まれている。
 目に見えるものが真実とは限らない。今、手元にある貨幣は本物なのか。これからも安心安全な国でわたしたちの信頼のもとでその価値を維持し続けることはできるのだろうか。目に見える確かなものから、目に見えないものの価値へ。移行がすでにはじまっているのかもしれない。

20年後の未来に起きること

世界と比較しても、暗号資産の税制改革が進まない日本。暗号資産が誕生した時には、上位にいた日本も今やその姿形はどこにもいない。

 BTCの始まりは2009年。最初の価値(値段)は0円であった。日本で暗号資産の取引が開始されたのは2017年からとなっている。既にBTCが誕生して16年もの年月が経過している。誕生した時は0円であったBTCの価格は、現在一千万円を超えている。価格変動の大きな振れ幅はあるが、それでも高値更新を繰り返してきている。今の価格をかなりの高値と感じている人も多いとは思うが、今後のBTCはこれまでの歴史の中で他に類を見ないほどのハイスピードでここからさらなる飛躍を目指していく。2025年はその転換点でありここが初動となる。これまでの常識やあたり前とされてきたわたしたちの貨幣に対する価値や感覚を大きく変えることになる。具体的な価格言及は避けるが、実際には20年の年月を待たなくても、12〜15年後には十分なくらい目に見えた結果を叩き出し、さらなる上昇を目指していくものになる。現在の価格帯は米粒以下ほどに小さなものだが、多くの人々は数年後になってようやくその事実を知る。どんなに手を伸ばしても届かない、はるか遠い位置に達する。この大きな市場を国をあげて取りにいくべきだと考えるが、この国は目の前のチャンスを逃す。多くの日本人は、これは一体何なのか。世界では何が行われ、どのようなイノベーションが起きていたのかさえもわからずに終わることになる。

 失われた30年が、失われた50年にならないことを願いたいが、今の様子ではリアルに現実味を帯びているように思えてならない。そのくらい大きな貨幣の革命がすぐそこまできている。わたしたちは今、そんな時代を生きている。

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