【子どものお習字教室の選び方】体験レッスンで見るべきポイント5選
(保護者の方が本来確認するべき内容とは。)
書家
片岡 青霞
プロフィール
今の時代お習字を習ってみたいと思ったら、多くの人が自分の住まいの周辺にどのような教室があるのかをスマホやインターネットで検索することからはじめるかと思う。 お習字教室と言っても会社団体(フランチャイズ)や個人経営、 カルチャースクールなど多岐に及んでいる。自分に合ったお習字教室を選択するためにはまずは体験レッスンに申し込み、どのような教室なのかを知る方法がある。大切なことは体験レッスンを通じて本来見るべきポイントをしっかり抑えること。体験レッスンではどのようなことをチェックすればいいのか保護者の方の視点も含めて5選紹介しよう。
①どのような教室か
お習字教室と一概に言ってもどのようなお習字教室なのか特色はそれぞれ異なる。 会社団体傘下としてフランチャイズ展開しているのであれば、本部の経営方針のもと教室運営が展開されている。一方、小さな個人経営となると大抵の場合講師は1人となるため、個人の経営方針のもと教室運営がおこなわれている。 会社団体、個人経営、カルチャーセンターのどれに属するかによって、方針や運営スタイルが異なるため最初に確認する必要があるだろう。
どのような教室かを把握するために大抵の人たちが体験レッスンに申し込むが、体験レッスンを受講する前に必ず事前リサーチをする必要がある。事前リサーチとは、お習字教室を運営している先生がどのような人物なのか、教室方針、教室活動、クラス時間割、お稽古内容、実績、交通アクセスなど。昔はこれらの情報を入手する術がなかった。教室入塾するにあたってもほとんどの場合が口コミや紹介であったが、現代においてはHPやサイトを設けている教室が普及している。体験レッスンでも上記の説明は講師からされるが、HPで確認できる内容は事前リサーチとして把握しておく必要がある。せっかく体験に来たのに通えるクラス時間帯が無かったというのでは本末転倒である。体験レッスンは闇雲にどの教室にでも行けばいいというものではなく、事前リサーチをして自分が興味関心をもった教室に伺うべきである。お互いに大切な時間を共有するため教室を運営している側はできるだけ情報を先に出す。受講する側は事前リサーチをする。これが体験レッスンを受講する前の一番最初の段階だと考えている。
②講師の人柄と指導力
町中にある書道教室のほとんどが個人経営でお習字教室を運営していると思うが、その場合指導者は1人となるためどのような先生なのかを把握する必要がある。
事前リサーチとしておこなえることは、HPのプロフィールを確認する。どのようにして書道と出会い何をきっかけとしてこの道に入った人なのか。その他SNSをやられている方なのであればSNSからも十分人柄を把握することはできるかと思う。しかし、これはあくまでもネット上での話となる。実際の体験レッスンを通じて対面で講師とリアルに接することで、より人柄に触れ自分がネット上で見ていたものと相違は無いかどうかが分かるのではないかと思う。また、体験レッスンの際に既存の生徒さんたちに対してどのような指導を行っているのかを確認する。体験レッスンに来るとつい自分のお子さんが書いている様子だけに注力してしまう保護者の方がいるが、実際に教室に通うことを想定すれば先生が既存の生徒さんたちに対してどのようなに接し指導をしているのかを確認する必要がある。これまで見てきた中でも、事前リサーチをしてきている保護者の方は既存の生徒さんがどのようにお習字をやっているのかまで見る余裕があるが、 事前リサーチをせずに来ている保護者の方はその余裕がなく自分のお子さんが書いている様子だけに注力する傾向がある。体験レッスンはあくまでも体験ではあるが、想像力を働かせ周囲を広く確認することは大切なことなのではないかと思う。
③クラスの雰囲気
大抵の場合、自分が通う曜日時間帯で体験レッスンに申し込むことがほとんどとなるためクラスの雰囲気を把握することはとても大切なこととなる。 これはどの教室にも言えることになるかと思うが、同じ教室にも関わらず児童の曜日時間帯クラスによって雰囲気が全く異なるということがよくある。 通っている人物がそれぞれのクラスによって異なるため当たり前と言われればそれまでかもしれないが、クラスの雰囲気というのは講師を含め皆で作っていくものだと考えている。黙々と熱心にやるクラス、明るいクラス、ONとOFFがハッキリしているクラスなど。クラスによってカラーが異なることはごく自然なことだと思っている。
体験レッスンの際に、自分の子がこのクラスに入って学ぶことを大抵の親御さんがイメージすることになるだろう。また、既存の生徒さんたちがどのようにお習字に取り組み、書作品を書いているのかを見ればここで学んでいくとどれくらい書けるようになっていくのかを容易に想像することができる。クラスの雰囲気を把握することは体験レッスン時のリアルな場面でしか把握することができない。 周囲に目を行き届かせることが大切である。
④子どものお習字に対する興味関心
はじめて筆を持った子どもにとっては全てが新しくうつっている。体験レッスンで子どもが楽しそうに取り組んでいるかどうかは最初の段階で一番大切なこととなる。お習字に対して興味関心があるかないか。ここを疎かにしてはいけないと考えている。
たまに、 初めての体験レッスンで技術的指導を求めてくる親御さんがいるが、私ははじめての体験レッスンの時に技術的指導はしないと決めている。体験とは実際に見たり聞いたり行うことを指している。教室の雰囲気を見て、講師の人柄に触れ、教室の案内を受け、同じ空間の中で筆を取る。出会って1時間余りで技術的指導をしお子さんが自分の思うように書けずに終わってしまったら果たしてこの時間をお子さんは楽しかったと思い返すことができるであろうか。既存の生徒さんに対しての添削時、目の前でどのような技術的指導を行っているのかを見ていればここで学ぶことによって毎回のお稽古でどのような学びを得ていくのかを把握することができるが、自分のお子さんが書いている様子にしか注力していないと子供のお習字に対する興味関心や成長段階のステップを飛ばして今すぐにの技術的指導を求めるようになる。物事にはステップがある。果たして出会って1時間でこの物事を完結できるか否か。非常に難しいと考えている。
⑤設備環境
教室の設備環境を把握することは、どの環境に身を置きお習字を学んでいくのか毎回のこととなるためしっかりと確認する必要があるだろう。
私が幼い頃、お習字教室を選ぶにあたって2つの候補があった。床に座って書くタイプと椅子に座って書くスタイルの2つである。幼い頃から、イスに座り高さがあるテーブルだと身長や体格によって安定感がないと考えていたため、必然的に床に座り書くスタイル一択で考えていた。幼い子だとイスから足が浮いてしまうためさらに安定感を保つのが難しいかと思う。また、子どもたちが取り組む大きな展覧会の作品を机上で書くのか床で書くのかのどちらかに分かれるかと思う。どちらがいいかは教室によって指導方針が異なる。床に紙を広げて書くスタイルにしているのは、作品の全体感を一目で把握するためである。大人の大きな書道作品にしても机上で書くことは不可能なため子どもにも同様のスタイルを取り入れている。
教室の設備環境は他にも様々なものがある。教室の空間環境、広さ、人数、用具など。静かな環境で心を落ち着かせてお習字を学びたい人もたくさんいる。体験レッスンで設備環境をしっかり確認しよう。
創造力とイメージが膨らむ教室
体験レッスンで見るべきポイントは5選。①どのような教室か。②講師の人柄と指導力。③クラスの雰囲気。④子供のお習字に対する興味関心。⑤設備環境。
他にも確認すべきこと見るべき点はたくさんあるため、やはり体験レッスンを受講するにあたって事前リサーチをして参加することは大切なことであると考えている。 HPやSNSで事前リサーチをし情報を取得することによって、実際の体験レッスンで余裕をもち視野を広げて様々なことを確認することができるからである。はじめて訪れる場所というのは誰もが多少なりとも緊張をしているので事前リサーチがより重要となる。体験レッスンを通じて、ここで自分のお子さんがお習字を学ぶとどのように成長していくのかというイメージを抱くことができる教室が一番良いのではないかと思う。 イメージができないのであれば自分に合う教室は他にある。新たな習い事として楽しいお習字のスタートを切ろう。皆さんがお習字を通じて自分にあった素敵な教室や先生と巡り合うことができることを心から願っています。